日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2P-23
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ポスター発表
沖縄県中南部における伝承したい家庭料理 (1)
豚肉料理
*森山 克子田原 美和我那覇 ゆりか
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キーワード: 沖縄, 家庭料理, 豚肉
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抄録

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の取組として、沖縄本島中南部の3地域に焦点をあて、昭和30年から40年頃までに定着した料理のうち伝承したい家庭料理について聞き書き調査を行った。その中でも今回は、「豚肉」を用いた料理について検討した結果を報告する。
【方法】調査地域は、沖縄県中部の読谷村宇座、沖縄市登川、沖縄県南部の那覇市与儀、以上の3地域とした。調査は、読谷村2名(83、85歳)、沖縄市3名(70歳~74歳)、那覇市3名(71~78歳)を対象とし、昭和30年から40年頃までに定着した家庭料理および伝承したい家庭料理について、その料理名、食材、調理・加工法などを聞き書きした。
【結果】沖縄は第二次大戦前から戦後しばらくは各戸で豚を養うことが一般的で、年末には豚を屠り、塩漬けにして保存し行事等の際に用いていた。実際に「聞き書き 沖縄の食事」では県内のどの地域においても豚肉料理の記載はみられる。今回、聞き書き調査を行った読谷村宇座、沖縄市登川、那覇市与儀で共通に伝承したい豚肉料理はナカミ汁、ソーキ骨(豚あばら肉)汁、イナムドゥチ、スーチカー(塩漬け豚肉)、アシティビチ(豚足)、クファジュージ―等であった。冷蔵庫のない時代のスーチカーは長期保存のために大量の塩分を用いていた。現在は、健康志向も相まって以前より塩分の使用量は減少している。近年の沖縄県は、全国平均寿命順位の転落や全国一位の肥満率など健康問題が深刻であることから、単なる豚肉料理の伝承ではなく、先人の残した「茹でこぼしや長時間の煮炊きにて脂質を取り除く」という、健康的な沖縄独特の調理法を伝承すべきと考える。

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