日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2P-46
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ポスター発表
凍結条件の違いが冷凍アサリの呈味成分と嗜好性に与える影響
*橋本 多美子藤本 佳恵杉本 麻衣江戸 梢
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抄録

【目的】内食志向の強まりや企業の製品開発努力などもあり、冷凍食品の国内消費量は増大している。しかし、貝類は季節性の食材であり、家庭においては冷凍品よりも生の方が好まれる傾向にある。近年、新しい冷凍技術として注目されているCAS(Cells Alive System)は、微弱な複数のエネルギーを作用させながら急速に凍結させることで細胞組織のダメージを抑え、生に再現できると言われている。しかし、食品のCAS凍結の影響についてのデータは少ない。そこで、本研究ではCAS機能を含め、凍結条件の違いが冷凍アサリの呈味成分と嗜好性に与える影響について検討した。
【方法】アサリはCAS凍結(CAS機能付きで-40℃)、急速凍結(-40℃)および冷凍庫(-20℃)にて凍結し、12週間冷凍保存した。冷凍アサリは1,2,4,8,12週間後に解凍し、むき身を磨砕して同量の水または過塩素酸を加え、攪拌後に遠心分離にて得られた上澄みを抽出液とし、有機酸および遊離アミノ酸の分析を行った。官能評価は各凍結条件で4週間保存したアサリを酒蒸し調理し、5段階評点法にて行った。
【結果】解凍時のドリップ量は凍結条件の違いによる差はなく、貝重量の6~11%であった。アサリの有機酸量は生よりも冷凍の方が多かったが、凍結条件の違いによる差はみられなかった。また、遊離アミノ酸は生に比較して凍結アサリの方が少なかった。一方、官能評価では凍結条件の違いによる嗜好性に有意差は認められなかった。以上より、今回の凍結保存条件ではアサリの呈味成分や嗜好性に与える明確な影響は認められなかった。殻付きアサリの場合は冷凍条件が食味に与える影響は少ないと考えられる。

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