日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a2
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口頭ー発表
子育て世代の食意識と食行動からみる高等学校家庭科の意義と役割
*山本 智恵美久保 加織
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抄録

【目的】高等学校家庭科では、生活をよりよくするために主体的に実践できる能力と態度を育成することを目指している。本研究では、食に対する意識が高いと思われる子育て中の保護者を対象に、食生活の意識や生活習慣、食育への関心と、学校教育の家庭科で学習した内容が今の生活にどの程度活かされているのかを調査し、高等学校家庭科で食の教育をどのように展開していけば、生徒の現在と将来の生活における実践につながるか検討することを目的とした。
【方法】滋賀県草津市の保育園あるいは幼稚園に通う園児の保護者を対象に質問紙調査を2013年11月から12月に実施した。有効回収票(率)は、1044票(47.7%)であった。
【結果】現在の食生活において、自身だけでなく家族の食にも関心をもち、主体形成高位の自己承認を形成していると考えられる9項目を点数化し、対象者を主体形成高位群(高位群)と主体形成低位群(低位群)とに分類した。高位群は低位群より豊かな食生活を送りたいと考え、経済性や効率化への関心の程度が低かった。また、高位群は低位群より加工食品の使用頻度が低く、各種料理やお節料理の手作り度が高かった。効率化より食事の内容に力を入れたいと考えている人が多いと考えられる。外食頻度や朝食の摂取頻度に差はみられなかったが、夕食の子どもとの共食頻度は高位群で高かった。自己承認というレベルまで主体が形成されている人ほど、食生活をよりよくしようとする傾向がみられた。これを踏まえ、高等学校の家庭科では、自己承認レベルの主体を育成するような授業を展開する工夫が必要であると考えられた。

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