日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p4
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口頭ー発表
1,5-アンヒドログルシトールの調理・食品加工における利用特性
*浪花 絵梨隅蔵 菜海太田 沙織三宅 千悠小西 洋太郎
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抄録

【目的】グルコースのC1位が還元された1,5-アンヒドログルシトール(AG)は微量だが自然界に広く分布する。しかし、市販品は高価であり、食品科学分野での研究は進んでいない。私たちは最近、生薬オンジ(イトヒメハギ科植物の根)から高純度・大量精製(ここでは数十グラムの意)に成功した(1)。今回その甘味特性、物理化学的性質を明らかにし、調理・食品加工における利用の可能性について検討した。
【方法】AGの甘味度、甘味特性は官能試験および味覚センサーSA402Bにより評価した。またAGの吸湿性、水分活性、メイラード反応(pH 4~8でグリシンとともに120℃加熱)、BSAおよびオボアルブミン(OA)との乳化活性についてスクロース等と比較した。
【結果】[甘味度・甘味特性]味覚センサーによる甘味度は約75、官能試験では約60であった。温度による甘味度の変化はなく、甘味の引きが早く後味として少し苦味が残った。塩味や甘味による増強効果はなかった。酸味、苦味、渋味に対しては、スクロースよりは弱いものの抑制効果を示した。[吸湿性]相対湿度97%下で、高い吸湿性(250%)を示した。[水分活性]他の糖質溶液よりも有意に低い値を示した(0.912)。[メイラード反応]他の非還元性糖と同様に褐変を引き起こさなかった。[乳化活性]OA溶液では対照と変わらなかったが、BSA溶液では有意に乳化活性を促進し、エマルション安定性を高めた。このように、AGは新しい甘味料のみならず、調理における利用の可能性が示唆される。
(1)太田沙織ら、日本応用糖質科学会平成24年度大会講演要旨集、p. 31(2012)

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