日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-11
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ポスタ―発表
サバの味噌煮調理過程における品質挙動の把握
*広瀬 純子柴田 奈緒美
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抄録

【目的】本研究は無形文化遺産に登録され,世界的に注目されている和食の中でも煮魚(サバの味噌煮)を対象とし,調理過程においてどのような変化が生しているのか定量することを目的とした。また,基準となる調理方法をもとに,塩分量や呈味成分等のバランスなど,各世代に応じて嗜好を留意した調理方法を提示可能とすることを目指す。
【方法】レシピに記載される方法に従った通常調理と,使用調味料を限定した調理法(調味料抜き,醤油抜き,味噌抜き)および中学家庭科教科書記載の調理法を対象とした。各調理法において,調理過程における温度履歴,重量・体積変化率を算出した。また,試料を中心と端に分け,調理終了時の含水率,塩分量およびグルタミン酸量の算出を行った。塩分量は塩分計(APAL-ES1、AS ONE),グルタミン酸量はグルタミン酸測定キット(ヤマサ醤油株式会社)を使用した。
【結果】加熱調理中の温度履歴は,強火で煮る工程において表面の温度が大きく上昇したが、落し蓋を開けることによって温度が下がり,中心と同じ温度になった。調理後半の弱火で煮る工程では,中心と表面はほぼ同じ温度であり,また緩やかに温度が上昇した。調理終了時,重量および含水率は減少した。体積は,幅と長さが収縮したが,高さは増加した。塩分量は,中心より端が多く,通常調理の濃度が最も高くなった。これに対してグルタミン酸量は,通常調理よりも醤油抜き,味噌抜きおよび中学教科書に記載される調理法の方が,端の濃度が高かった。すなわち,調味料中の塩分量が少ない醤油抜き,味噌抜きおよび教科書記載の調理法は,魚肉中の塩分量が少なく,グルタミン酸量は多いことから,減塩を達成する調理法として適していることが明らかとなった。

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