日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-a5
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口頭発表
食パンクラムの力学物性を表すCompressive force value を求めるためのAmerican Association of Cereal Chemists 変法
*佐藤 之紀
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抄録

【目的】AACC法のプランジャーの径と速度を見直し,国際単位に変換可能なプランジャー径を用いたAACC変法により測定したパラメータCFV20を考案し,パンの力学物性変化を追跡した。 <BR> 【方法】直径20 mm (AACC法では21 mm) の円筒プランジャーを用いて,等速直線運動で一回,家庭用製パン器 (Panasonic SD-BM103)で焼いた厚さ25 mmパンのクラム部位をpenetrateさせて,deformation curve (F–L曲線) を描き,25 % deformation (L=6.25 mm)での力(CFV20)を求めた。さらに,CFV20と指先感覚や口内感覚の関係を,食パンを5℃で密閉保存した場合の経過日数と常温でのかたさ(7点評価法)から調べた。<BR>  【結果】36 mmと21 mmの2種類のプランジャーの径をそれぞれ用いたAACC法でのCFVは,互いに相関していた。さらに,直径20 mmのプランジャーを用いたCFV20は,AACC法でのCFVと一次式で表すことができたことから,互いのパラメータ値への変換が可能となった。また,CFV20は,保存日数の2次式に近似可能であり,食パンクラムのかたさを追跡する際によく用いられるAvrami equationに適用した際に求められる最大のかたさに準じた値も算出可能であった。CFVの代わりに口腔内でパンを噛んだ際の感覚(S)を数値化して,パンの保存日数とSの関係を調べたところ,SはCFVと同様に保存日数の2次式に表すことが可能であった。その2次式から最大Sを求めたところ,保存4.5日目に最大のSを示すことが判明し,機器測定によるCFVと食パンの保存経過日数との関係から求めた最大のCFVを示す保存日数とほぼ一致していた。さらに,CFV20は,Sをよく反映し,CFV20とSの関係は直線関係に近似可能であった。また,Sは,パネルの指先感覚値を用いて推定可能であった。

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