日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-p4
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口頭発表
カボチャ「えびす」のでん粉の特性とサラダの嗜好性
*栗原 玲子白 ろ山田 伽奈子西田 沙央理奥西 薫子吉元 寧川邊 清隆西田 毅松田 寛子白井 隆明島本 国一
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抄録

【目的】カボチャは,でん粉が急速に糖化し,食味が変化することが報告されている。主要品種である「えびす」は,粉質から粘質に変化するため,サラダにした場合の加工適性と嗜好性が変化する。そこで本研究では、でん粉の理化学的な性質の変化が,サラダの嗜好性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】北海道産の「えびす」種のカボチャを貯蔵し,収穫直後と58日,104日貯蔵し分析をおこなった。カボチャのでん粉を精製し,ラビットビスコアナライザー(RVA)で粘度測定を測定した。粒度分布,損傷でん粉,顕微鏡観察によりでん粉の分解の評価をおこなった。同時にカボチャの固形量や遊離糖量などの基本成分を測定した。サラダは,「えびす」を基本に他の品種との官能検査による嗜好調査をおこない,好まれる固形量や遊離糖量を求めた。【結果】6%のカボチャでん粉の,RVA粘度特性は,収穫直後では,馬鈴薯のように急激に粘度が上昇した後粘度が低下し冷却後粘度が上昇する。一般に植物の地下部に貯蔵されるでん粉や大粒子のでん粉がそのような性質をもつとされるが,カボチャは果菜であるが同じような傾向であった。58日貯蔵すると,急激な粘度上昇ピークが消失し,最高粘度は約70%に減少するが,冷却後の粘度上昇は一致した。粒度分布による平均粒径は,減少し,損傷でん粉は,増加した。遊離糖は,58日後が最大で104日後には減少した。水分は経時的に増加した。カボチャサラダの官能評価による嗜好調査では,でん粉量が多い品種の評価が高いわけでなくでん粉分解と糖化と固形量によるサラダの適性領域が存在すると考えられた。品種によってサラダの適性領域が異なる傾向がみられた。

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