日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-a3
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口頭発表
真空包装及びその後の加熱が野菜の食塩濃度に及ぼす影響
*熊谷 美智世佐藤 裕美佐藤 瑶子香西 みどり
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キーワード: 真空調理, 食塩濃度, 半透性
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抄録

【目的】真空調理とは食材を専用フィルムに入れて真空包装し加熱する調理方法である。一般的に調味液と共に真空調理すると、食材へ味がしみこみやすいといわれている。野菜の調味料拡散には細胞膜機能が関わるが、食材を真空包装することと包装状態で加熱することに分けて、それらの影響を考察した報告はない。本研究では真空包装した野菜の加熱前後の食塩濃度を調べ、真空調理が試料の調味料濃度に及ぼす影響を検討した。
【方法】2cm角ダイコンを試料とし真空包装後、真空包装状態または包装後袋から取り出して20℃で3日間保存、真空デシケーターで減圧処理(0 atm)の4条件で処理後、試料を0.5%食塩水に30~60分浸漬した。比較のため予備加熱で細胞膜機能が低下した試料も同様に浸漬した。直径4cm高さ2cm円柱型ダイコンを1.5%食塩水と共に真空包装または常圧でポリエチレン袋に入れ空気を抜いて袋口を縛り(常圧試料)95℃で3〜40分加熱した。重量と食塩濃度(モール法)を測定した。
【結果】真空包装直後、包装後保存、減圧処理後の試料を袋から取り出して0.5%食塩水に浸漬した結果、各食塩濃度は増加せず予備加熱試料は浸漬時間の経過に伴い増加した。このことから真空処理が試料の細胞膜の半透性へ及ぼす影響は認められなかった。1.5%食塩水と共に真空包装した時、試料重量は3.2%増加し食塩濃度は常圧試料より0.1%高かった。真空包装試料の加熱3分後(中心温度34℃)も食塩濃度は常圧試料より高かったが、加熱10分(中心温度84℃)以降は差がなかった。以上より食塩水と共に試料を包装し加熱した場合、加熱後の試料食塩濃度は真空、常圧でほぼ同程度に仕上がることが示唆された。

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