日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-a7
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口頭発表
プロテアーゼおよびプロテアーゼインヒビターを用いたエビのテクスチャー改変
*沖邉 敦代西原 百合枝朝倉 富子舟木 淳子
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抄録

【目的】エビはかたく、高齢者や咀嚼困難者には咀嚼しにくいとされている。われわれは、プロテアーゼ反応をプロテアーゼインヒビターにより制御することで、エビのテクスチャーを自在にコントロールすることを目的として研究を行っている。本研究では、エビをプロテアーゼで分解し、さらにコメ由来のシステインプロテアーゼインヒビターであるオリザシスタチンを作用させることでエビタンパク質の分解を制御することを試みた。
【方法】プロテアーゼはパパイン(和光純薬工業株式会社)を使用した。脱脂米糠からオリザシスタチンを水抽出し、硫安分画を行い、30~65%飽和画分を粗精製オリザシスタチンとした。冷凍ブラックタイガー(無頭殻付き)を流水で解凍後、5mm角に切断し、パパイン溶液に4℃で浸漬した。また、オリザシスタチン処理は、パパイン溶液に浸漬した後、粗精製オリザシスタチン溶液に浸漬することにより行った。エビのタンパク質分解を、SDS-PAGEにより観察した。
【結果】エビを0.1~5.0%パパイン溶液に24時間浸漬したところ、パパイン溶液の濃度が高くなるにしたがって、ミオシン重鎖およびアクチンの分解の程度が大きくなった。0.5%パパイン溶液に3~24時間浸漬したところ、浸漬時間が長くなるにしたがって、ミオシン重鎖およびアクチンの分解の程度が大きくなった。そこで、エビを0.5%パパイン溶液に3時間浸漬した後、粗精製オリザシスタチン溶液に21時間浸漬した。オリザシスタチン処理したエビのタンパク質の泳動パターンは、3時間パパイン処理したエビのものと同様であったことから、オリザシスタチン処理により、筋原線維の分解が抑制されたと考えられた。

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