日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-a8
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口頭発表
食物アレルギー研修の効果と現場の課題
*駒田 聡子
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キーワード: 食物アレルギー, 研修, 学校
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抄録



食物アレルギー研修の効果と学校現場の課題

○駒田聡子

(皇學館大)

 

【目的】平成24年のアナフィラキシーショックによる事故を受け、文部科学省は「学校給食における食物アレルギー対応指針 (平成27年3月)」を策定し、学校における事故防止の徹底を図っている。しかし、食物アレルギーは、医学・栄養学・調理学など幅広い分野の知識が必要で、理解することが難しいとの声も聞く。本研究では、学校に於いて食物アレルギー児支援の要になる養護教員対象修会の機会を利用してアンケートを採り、研修の効果と食物アレルギー支援の課題を明らかにすることを目的とした。

【方法】三重県内T市で行われた学校養護教諭・栄養教諭対象の研修会後アンケート調査を行い、研修の効果と現場における課題について、「ヒヤリ・ハット事例」も含め調査をした。調査紙はその場で配布し回収した。(回収数58)

【結果】参加者の85%が養護教諭で、勤務年数は20年以上が約半数だった。勤務年数が1年未満を除き、80%以上が食物アレルギー児を担当した経験があり、いずれの現場でもアレルギー児がいるという前提での対応を整えていく必要があることが分かった。食物アレルギーに対する知識と自分事と思う意識は、もともと高かった割合は低く、講習会を受けて高まったと回答した者が90%を超えた。研修内容の理解度のうちやや低かった項目は「食物アレルギーの仕組み」で、逆に高かった項目はエピペンRに関する項目だった。対応上の困難は、保護者対応で困っている者の割合が最も高く34%で、ついで職員間の連携の26%だった。その内容は、「管理指導表」に関するものや、「食物アレルギー児支援を理解してもらえない」などが多かった。「ヒヤリ・ハット事例」では、職員の食材原料に対する認識不足、献立の変更時の確認不足、トングなど配食時のコンタミネーションなどがあがり、さまざまな場面での注意喚起が必要であることが分かった。

 

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