日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-a9
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口頭発表
植物工場野菜の六次産業化を視野に入れた授業「調理科学入門」の実践
*浅賀 宏昭
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抄録

【目的】人工光型植物工場で栽培される野菜(工場野菜)は、露地物野菜に比べると、柔らかく、味に癖が無く、無農薬で、かつ付着細菌が少なく衛生的である等の特徴があるので、生食に向いているとされる。しかし、工場野菜に適した調理の方法は、必ずしも明らかにされていない。そこで、六次産業化を視野に入れた上で、工場野菜に適した調理法を探ること、および野菜などの食材や調理の科学的側面を学ぶことの2つを目的とした授業を設計し、商学部の特別テーマ実践科目「調理科学入門」として2014年度より開講してきた。2年余りを経過したので、授業実践の報告もかねて成果を発表させていただこうと考えた。
【方法】材料である工場野菜(小松菜、春菊、リーフレタス、ワサビ菜)は、本学植物工場基盤技術研究センターにおいて栽培されたものを用いた。授業は、毎年1クラス(15~20人)開講し、受講生を3班に分け、上記のような特徴のある工場野菜に適した調理方法を班ごとに検討させ、レシピも完成させた上で、外部専門家委員をお呼びした成果報告会の前で発表させるという、「講義+実習+発表」という形態で実施した。
【結果】工場野菜は、生食のほか半生状態でも食べやすいことがわかった。小松菜や春菊は、ラップフィルムで包んで電子レンジでの加熱による簡便な方法でのおひたしの材料にも向いているとわかった。どの工場野菜もサラダでより強い歯ごたえを得るためには、まとめて生春巻や海苔巻に、あるいはトルティーヤで包むなどの工夫が有効であった。また、ミキサーで破砕してスムージー、ガスパチョ、ガレットや麺類の素材としても適していると確認できた。さらにババロアや寒天を用いたデザートの材料にも向いていることがわかった。

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