日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-a4
会議情報

口頭発表
食物繊維摂取増加を目的としたゴボウ添加ビスケットの物性と官能評価
*福田 ひとみ勝川 路子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】日本人の食物繊維摂取量が少ないことが問題となっている。そこで、摂取量増加のために食物繊維を多く含む野菜の1つであるゴボウを用いたビスケットを作製し、その物性と官能評価について調べた。さらに、これを摂取したときの排便効果について調べた。 【方法】生のゴボウを加えたビスケット(以下、ゴボウ添加)を厚さ1、2、3mmで作製し、加えないものを対照として、ビスケットの物性と咀嚼回数の測定、5段階評価法による官能評価を行った。さらに、学生20人(便秘10人、非便秘10人)に対して6日間、毎食事前のビスケット摂取を二重交差試験法により実施した。ビスケットの量はゴボウ添加で1日当たりの添加食物繊維量が約5gとなる40gとした。排便状況調査票で、排便の回数、時刻、量を調査した。 【結果】ゴボウ添加の水分量と膨化率は対照の約50%であった。両群の吸水率に差はなかったが、膨潤率はゴボウ添加が大きかった。官能評価ではゴボウ添加は外観と固さの評価は低かったが、香りと味の評価は高く、総合評価は対照と同等であった。生地の厚さが厚くなるほど咀嚼回数は増えたが、3mmは咀嚼しづらく、総合評価は1mmの生地が最も高かった。排便量は非便秘群では、ゴボウ添加と対照で有意差はなかったが、便秘群ではゴボウ摂取により3日目以降から約90%の人に改善効果がみられた。これらの結果から、食物繊維を補助的に摂ることができるゴボウ添加ビスケットは、無理なく食物繊維摂取量を1日約5g増加させ、便秘を改善する効果があることが明らかとなった。さらに、ビスケットの厚さを薄くすることで食べやすくなり、高齢者にも提供できる可能性が示唆された

著者関連情報
© 2016 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top