日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-54
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ポスター発表
カルシウムおよびマグネシウムがアントシアニン含有馬鈴しょの色調に与える影響
綿貫 仁美*山﨑 薫*吉野 知子建路 七織山岸 美穂林 一也田宮 誠司
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抄録

【目的】アントシアニン含有馬鈴しょ(有色馬鈴しょ)は, 色素に多くの有用な機能性が見出されているが, 調理の際に容易に分解し, 退色や変色をしてしまう。有色馬鈴しょを用いた調理後の色調は, 油調理では, 比較的色を保つことができるが, 水を介した調理で不安定となりやすい。そこで,有色馬鈴しょに対する水煮調理に用いる水の硬度差が, 有色馬鈴しょの色調にどのように影響するのか検討を行った。
【方法】試料はキタムラサキ(KM), ノーザンルビー(NR), シャドークイーン(SQ)を用いた。5倍容の硫酸カルシウム(Ca)と硫酸マグネシウム(Mg)の混合溶液(Ca:Mgの重量比=2:1), およびそれぞれの単体溶液の各溶液に馬鈴しょ塊茎を4mm厚にスライスして投入, 加熱し, クリープメーターを用い加熱後の切片の最大荷重を測定した。また, 水煮処理後の切片の色調を色差計で測定し, L*, a*, b*値に示した。その後, 3%ギ酸を用いて切片より色素を抽出し, 抽出液の吸光度を測定し, アントシアニン残存率を比較した。
【結果】水煮調理後の有色馬鈴しょ切片の最大荷重は, 3品種ともMg単体溶液ではいずれの硬度においても, Ca-Mg混合溶液の硬度0から硬度50と近似値を示した。一方でCa単体溶液では, 硬度が高いほど最大荷重が大きくなった。Ca-Mg混合溶液では, 硬度が高いほど最大荷重が増す傾向がみられ, Caの馬鈴しょ硬化作用が認められた。Ca-Mg混合溶液で, KM, NRでは硬度が高くなるに従いa*, b*値が小さくなる傾向があり, くすんだ色になっていった。SQでは, b*値が負に移動し, 青みが強くなった。アントシアニン残存率は, Ca-Mg混合溶液において, 3品種とも硬度が高くなるに従い, 残存率が減少する傾向を示した。硬化による切片の色素の溶出抑制には繋がらなかった。

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