日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-1
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口頭発表
におい識別測定及び官能評価から検討した天ぷら衣への雑穀粉の利用適性
谷口 明日香*京極 奈美*長尾 慶子小林 理恵
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抄録

【目的】雑穀粉は健康増進の観点からその機能性が注目されているが、調理への利用は限定的である。そこで我々は、グルテンを含まない雑穀の特性を生かした用途として、天ぷら衣への応用を検討している。これまでに各穀物粉(小麦粉・うるち米粉・もち米粉・大麦粉・ソバ粉・ハトムギ粉)の揚げ衣の品質を機器測定により評価し、健康機能性評価も踏まえ、天ぷら衣として大麦粉とハトムギ粉は小麦粉の代替適性が期待できることを報告した。今回は雑穀の好まれない特性の一つである“におい”に注目し、揚げ衣のにおいの特徴を検討すると共に、天ぷらに用いた際の嗜好性を官能評価により明らかにした。

【方法】各穀物粉の揚げ衣の“におい”は、におい識別装置にて測定した臭気指数相当値で比較した。官能評価は女子大学生をパネルとし、5段階嗜好型評点法で実施した。試料は既報に準じて調製した各穀物粉バッターを衣に用いて180±5 ℃で140秒間揚げたさつまいも(紅あずま)の天ぷらとした。評価項目は、揚げ衣のにおい、色調、食感、衣の油っぽさの程度、総合評価とした。

【結果】いずれの雑穀粉揚げ衣試料も小麦粉のそれより臭気指数相当値が有意に低かった。においが弱いことは食べやすさにつながると期待できる。官能評価ではいずれの項目もソバ粉試料の評価が低かった。吸油率が最小のうるち米粉及び最大の大麦粉試料は共に油っぽさの程度において好まれる傾向にあった。衣の食感は、各試料の中間的な硬さの大麦粉試料が最も好まれ、硬い揚げ衣のうるち米粉及びハトムギ粉試料も好まれていた。総合評価ではハトムギ粉試料、次いで大麦粉試料が好まれており、嗜好性の高い大麦粉とハトムギ粉は、天ぷらの衣として利用適性があると結論付けた。

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