日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-2
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口頭発表
茹で時間の異なるパスタの内部へのトマトソース由来成分の浸透のMRIによる評価
仲西 由美子*江口 由*入江 謙太朗
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抄録

【目的】パスタはイタリアを起源とし、いまではすっかり日本にも定着した料理である。パスタは通常、ソースと絡めた状態で食べられるものであるため、その状態で評価される必要があるが、これまでの研究ではパスタ単独もしくはソース単独での評価がほとんどであった。最近では消費者の志向も高度なものになってきており、パスタメニューのさらなる高品質化を目指すためにはソースを絡めた状態でのパスタを評価する必要がある。そこで本研究では、トマトソースを絡めたパスタについて、茹で時間によりソース由来成分の浸透度合いや分布がどう変わるか、MRIにより評価した。
【方法】太さ1.7mm径のスパゲティを3条件の時間で茹で(短:6分30秒、中:8分30秒、長:11分)、トマトソースに浸して絡めた。これらをソースから取り出し、MRIによる分析を行い、T2値を指標として評価した。比較としてトマトソースを絡めないサンプルも測定した。
【結果】全てのサンプルにおいて、パスタ断面の表層から0.5mmまでは、ソースを絡めることでT2値が低下した。8分30秒茹でのパスタでは、中心部のT2値がソースを絡めることで上昇した。11分茹でのパスタでは、ソースを絡めた後に中心部のT2値がわずかに低下しているように見られた。6分30秒茹でのパスタではソースを絡める前と後のサンプルが共に中心部のT2値が検出限界以下の値をとっていたため、ソースが浸透しているかどうかを判断することができなかった。8分30秒茹で、11分茹でのパスタにおいてはソースを絡めることにより中心部までT2値に変化が生じており、ソースの成分が浸透していることが示唆された。

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