主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: お茶の水女子大学
開催日: 2017/08/31 - 2017/09/01
【目的】米粉を用いた調理加工品は小麦粉とは異なる特有のテクスチャーがみられ,米粉の特性や製粉方法について研究されている。米粉には小麦粉のグルテンのような粘弾性をもつ成分がないため,米粉単独では展延性を有する生地の調製が困難である。この性質をふまえ,本研究では米粉生地に粘弾性を付与し栄養面の改善にも期待できるものとして大豆タンパク質に着目した。米粉に大豆タンパク質を混合した生地を調製し,その混合比率が米粉-大豆タンパク質麺の物性・熱的特性に及ぼす影響を検討した。
【方法】米粉(RF:前原製粉)と大豆タンパク質(SPI:不二製油)の混合割合をRF:SPI=10:0~0:10とし,DSC(示差走査熱量測定)(DSC-6100:セイコーインスツルメンツ)により米粉の糊化特性を検討した。米粉,大豆タンパク質,蒸留水(DW)を加えスタンドミキサー(KSM5:キッチンエイド社)で10分混捏し生地を調製した。混捏後の生地をラップで包み,25℃で30分間熟成させた。ローラー及びカッターを用い生地の圧延,麺切りを行い麺を調製し,1Lの沸騰水中で麺50gを90秒間加熱した。加熱後流水で30秒間麺を洗い,表面の水分を拭き取ったものを測定試料とした。測定はクリープメータ(RE2-3305B:山電)を用い破断測定を行った。
【結果】DSCでは,RF:SPI=8:2において糊化ピーク温度が最も低く,米粉1mgあたりのエンタルピーが大きくなるが,RF:SPI=7:3以上でエンタルピーが小さくなることから,大豆タンパク質が多くなると米粉の糊化を抑制することが考えられた。このことからRF:SPI=8:2とし,蒸留水比率(DW)を変えて破断特性を検討した。破断応力が7.88×104Paを示した比率RF:SPI:DW=8:2:5を最適と判断した。