日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-3
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口頭発表
圧縮米飯粒を用いた飯の老化の評価
北原 茉美*大田原 美保*香西 みどり
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抄録

【目的】米飯中の糊化デンプンは温度低下により一部再配列し、その結果、米飯の硬さや粘りなどが変化して嗜好性が低下する。これを米飯の老化といい、これまでに米飯粒の物性や色の変化によって評価されてきた。本研究では、圧縮米飯粒を用いた新たな老化の客観的評価方法を検討することを目的とした。
【方法】アミロース含量が異なる4品種の米(アミロース含量が高い順に、ホシユタカ、日本晴、コシヒカリ、ミルキークイーン)を加水比1.5で常法炊飯し、4℃で0、6、12、16、20、24、48時間冷蔵した。各試料米飯を1粒ずつ、テクスチャーアナライザーを用いて厚さ0.1 mmに圧縮し、圧縮米飯粒プレパラートとした。このプレパラートの顕微鏡撮影画像を得た。これをグレースケール変換し、輝度分布を解析した。また分光測色計により色測定(L*、a*、b*)を行った。さらに、同じ試料米飯について官能評価、物性測定を行った。官能評価では、外観、テクスチャー、老化感については評点法で、受容度については白飯として「受け入れられる」から「受け入れられない」までの5段階で評価を行った。
【結果】官能評価において、ホシユタカは冷蔵初期から老化感が高く、ミルキークイーンは24時間冷蔵後も老化感が低いと評価された。日本晴とコシヒカリは両者の中間的な老化感の変化を示し、日本晴のほうが、同じ冷蔵時間における老化感が高かった。画像解析で得られた圧縮米飯粒の輝度分布は、クラスター分析により5つのパターンに分類でき、パターンの違いは品種や冷蔵時間による老化感の程度の違いを反映していた。また圧縮米飯粒のL*は輝度平均との相関が強く(r=-0.93)、いずれも圧縮米飯粒を用いた老化の指標として有用であることが示された。

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