日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-10
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口頭発表
寒天・コンニャクグルコマンナン混合系ゼリーの物性・嗜好性・咀嚼性
*石井 麻美子細田 捺希*吉村 美紀
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抄録

【目的】食品ハイドロコロイドは、ゲル化性、増粘性などの様々な優れた機能特性をもち、広く家庭や産業界で使用されている。異なる食品ハイドロコロイドを混合することによる新しい食品ハイドロコロイドの開発が期待されている。これまで、食品ハイドロコロイドである寒天と分子量の異なるコンニャクグルコマンナンの混合系ゲルについて検討したが、本研究では、ショ糖を添加した混合系ゼリーの物性・嗜好性・咀嚼性を検討した。
【方法】試料には、寒天(AG)と、分子量の異なるコンニャクグルコマンナン3種類(LKGM、MKGM、HKGM)、ショ糖を用いた。AGと各KGMの総濃度を2.0w/w%、ショ糖濃度を10%としてゼリーを調製し、破断測定、テクスチャー測定、官能評価、咀嚼筋筋電位測定を行った。
【結果】破断測定では破断応力、破断エネルギー、破断歪、テクスチャー測定ではかたさにおいて、AG-LKGMが他の2つより有意に低値となった。付着性はAG-LKGMが他の試料より有意に高くなった。これは、LKGMの分子量が小さく分子鎖が短く、付着性を高めAGの架橋形成を阻害したことによると推察した。咀嚼筋筋電位測定では、咬筋と舌骨上筋群の咀嚼回数、咀嚼時間、総筋活動時間はAG-HKGM、AG-MKGM、AG-LKGMの順で減少する傾向がみられた。咬筋の総筋活動量は、AG-KGM、AG-MKGM、AG-LKGMの順で減少する傾向がみられ、これらは、破断測定、テクスチャー測定のかたさと同様の傾向を示した。一方で、舌骨上筋群の総筋活動量は、AG-KGM、AG-MKGM、AG-LKGMの順で増加する傾向がみられ、付着性と関連がみられた。ユニバーサルデザインフードとしての区分では、AG-HKGMとAG-MKGMはの区分1の「容易に噛める」に分類でき、AG-LKGMは区分2の「歯ぐきでつぶせる」に分類できた。

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