日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2C-3
会議情報

口頭発表
粳米から製造する千葉県伝統食品「性学もち」の水分含量と測定時温度が物性値に与える影響
古本 美栄*大河原 悦子*小田中 南弓海老澤 隆史塩谷 敏明中島 肇
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】性学もちは、江戸時代の農業指導者・大原幽学が現千葉県香取・海匝地域の貧しい農民のために導入した、米粉を使わず、粒状の粳米を使用して製造する餅様食品である。性学もちは「飲み込みやすい」、「煮込み料理で崩れにくい」という特性から、現代の食品として見直されている。我々は、昨年の本学会で、性学もちは餅よりも、「飲み込み易さ」、「凝集性の低さ」が、優れていることを報告した。今回は、性学もちの水分含量と測定温度が物性に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】TA XT Plus(TA社)付属のペルチェ式調温チャンバーを用い60、40、25℃にチャンバー内を保持して物性測定を行った。テクスチャー解析は5mmのステンレス製プランジャーを用い、80%圧縮率で測定した。幽学が伝えた調製法(幽学法)と、蒸し工程時の振り水を行うことで幽学法より水分含量が高い性学もちの二種類を調製した(振り水法)。対照として餅米を用いて調製した餅(自家製餅)を用いた。
【結果】幽学法性学もち(水分含量50.8%)を25℃でテクスチャー解析を行ったところ、自家製餅(水分含量 39.4%)・振り水法性学もち(水分含量56.7%)のどちらよりも付着性が高く、凝集性は低かった。一方、でんぷんの老化が抑制される60℃で物性を測定したところ、25℃での各物性値に比べ大きく変化した。さらに、幽学法と振り水法で調製した性学もちを比較したところ、水分含量が増えると、測定温度に関わらず、付着性は低くなり、凝集性は高くなった。水分含量と測定温度によってテクスチャーが変化することから、性学もちの物理特性の解析には水分量と測定条件を適切に管理する必要があることが示唆された。
著者関連情報
© 2017 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top