日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-3
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ポスター発表
さつまいも「シルクスイート」におけるβ‐アミラーゼの熱安定性とマルトース生成量について
山﨑 貴子*赤塚 千佳*古谷 彩音馬場 彩佳岩森 大伊藤 直子
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抄録

【目的】新潟市北区ではさつまいも(品種:シルクスイート)の特産化をすすめている。我々は、収穫後1-4か月貯蔵したシルクスイートは、未加熱試料のβ-アミラーゼ活性がベニアズマと同程度で、べにはるかより低いにもかかわらず、85℃60分加熱時のマルトース生成量はベニアズマより多く、べにはるかと同程度であったことを報告している。本研究では、シルクスイートの加熱時のマルトース生成量が多い理由を検証するため、β-アミラーゼの最適温度及び加熱試料の残存活性を調べた。
【方法】新潟市北区の同一圃場にて栽培し、室温で1か月以上貯蔵したシルクスイート、ベニアズマ、べにはるかを用い、塊根の中央部より1.5cm角に切りだした。未加熱試料の粗抽出液について、反応温度20-90℃でのβ-アミラーゼ活性を測定した。また、未加熱及び65-95℃で60分蒸し加熱した試料の粗抽出液のβ‐アミラーゼ活性及び糖量を測定した。β-アミラーゼ活性はDNS法、糖量はHPLC法にて測定した。
【結果】未加熱試料のβ-アミラーゼ活性は、3品種とも60℃で最も高く、品種による差はなかった。65℃加熱試料のβ-アミラーゼ活性は、ベニアズマとべにはるかでは未加熱試料の約60%まで低下したのに対し、シルクスイートでは約80%残存していた。マルトース生成量は、65℃加熱試料ではシルクスイートとべにはるかに差はなかったが、75,85℃加熱試料ではシルクスイートの方が多かった。以上より、シルクスイートはベニアズマやべにはるかに比べ、加熱試料のβ-アミラーゼ活性残存率が高いことから、熱安定性に優れている可能性が示された。今後マルトース生成に関係する糊化状態についても調べる必要がある。

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