日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2C-12
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口頭発表
鮮度による温泉卵の凝固状態の変化について
辰口 直子*大 雅世
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抄録

【目的】

前報では温泉卵について、加熱到達温度と時間経過が凝固状態に与える影響を明らかにし、好みの温泉卵を作る指標を作成した。本研究では温泉卵の凝固状態に鶏卵の鮮度が与える影響について明らかにすることを目的とした。

【方法】

全卵の凝固状態及び水様卵白、濃厚卵白、卵黄それぞれの凝固状態に対する鮮度による影響の確認を行った。試料には新鮮卵として採卵3日以内の鶏卵を用い、保存卵は恒温器(26±1)で2週間と3週間保存したものを使用した。加熱は前報と同様の条件、すなわち、恒温槽を用い水温65℃、68℃、70℃に設定し、20分、30分、50分加熱した。加熱後の全卵を割卵し、形状(長径、高さ)と、卓上型物性測定器(YAMADEN TPU-2S)を用いテクスチャー(破断強度、付着性、ガム性)を測定した。全卵で固まり方が違ったので水様卵白、濃厚卵白、卵黄を一定の条件で分画し、それぞれ30ccビーカーに入れ全卵と同条件で加熱し、中心温度変化を測定し、加熱後のテクスチャーを測定した。

【結果】

温泉卵は、鮮度(保存期間)の影響を受け形状もテクスチャーも変化し、凝固状態に差がでた。全卵は鮮度が良いほうが固く凝固した。保存卵では、加熱温度帯によって加熱時間(保温時間)の影響に差があり、65℃と68℃では加熱時間の影響を受けにくく、70℃では受けやすかった。濃厚卵白と水様卵白では水様卵白の方が凝固状態は軟らかい。その上、水様卵白は保存により、凝固状態が軟らかくなり、卵黄も保存により軟らかく凝固する事が明らかとなった。これらの現象が、保存により水様卵白が増えることと共に、保存卵がより軟らかく凝固することに影響していると推察された。

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