日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-8
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ポスター発表
シロミトリ豆のポリフェノール含量に及ぼす加熱調理の影響
*磯部 由香毛利 優花西尾 昌洋飯田 津喜美平島 円
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抄録

【目的】シロミトリ豆はササゲ属の一種の白い豆であり,莢に結合している「ほぞ」の部分に楕円形で周囲に黒い輪状の縁取りがある。三重県では郷土料理として煮物にして食される。本研究では,豆類の機能性成分として代表的なポリフェノールに着目し,シロミトリ豆のポリフェノール含量について分析するとともに,調理過程でのポリフェノールの損失について検討した。

【方法】平成29年秋に三重県鈴鹿市で収穫されたシロミトリ豆の実を莢から取り出して乾燥させ,常温保存したものを用いた。生豆,一晩水に浸漬して戻した豆(浸漬豆),15分間加熱してゆでこぼしした後さらに5分間加熱した煮豆の3種類の試料を凍結乾燥し,水溶性ポリフェノールをアセトン:水:酢酸(70.0:29.5:0.50,v/v)で抽出した。得られた試料中のポリフェノール含量をフォーリンチオカルト法により,プロアントシアニジン含量をバニリン硫酸法変法で測定した。また,HPLC分析によりポリフェノールの種類を検討した。

【結果および考察】豆50.0gには3.21mg,そのうち,ほぞに2.54mgのポリフェノールが含まれていた。シロミトリ豆には(+)-カテキン以外のポリフェノールの存在が示唆された。総ポリフェノールは生豆5.06g中に0.231mg,浸漬豆11.4g中に0.106mg,煮豆11.7g中に0.024mg含まれていた。総プロアントシアニジン含量は生豆5.06g中に0.395mg,浸漬豆11.4g中に0.125mg,煮豆11.8g中に0.042mgであった。煮豆に含まれる総ポリフェノールおよびプロアントシアニジンは,生豆の約10%で,90%ほど減少することが明らかになった。

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