日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-23
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ポスター発表
黒酢たまねぎドレッシングによる豚肉の物性とおいしさへの影響
*奥田 悠介栁澤 琢也大上 明日実熊谷 信介清水 綾子
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抄録

【目的】近年,共働き世帯は年々増加しており,生活スタイルの変化に伴い調理に掛けられる時間は減少している。このため,簡便調理や時短調理のニーズは高まっており,簡易・簡便なメニューの開発は大きな貢献となると考えられる。我々は本学会等において,マヨネーズの調理への活用による簡易・簡便なメニュー提案を行ってきた。今回はドレッシングを用い,短時間で高度な調理スキルも不要な調理法を提案する。本研究では,調理の際に硬化や臭みが課題となる豚肉に着目し,素材と相性が良い黒酢たまねぎドレッシングに浸漬した際の食べ易さとおいしさへの影響について検討を行った。

【方法】「キユーピーテイスティドレッシング黒酢たまねぎ」にカナダ産豚背ロース4mmスライスの全体を浸漬し,浸漬無し,浸漬直後,浸漬後10分,30分,60分の豚肉を調製して㈱フジマック社製にて210℃×2.5分焼成し評価を行った。食肉の物性評価に広く利用されるWarner Bratzler Bladeを用いて豚肉の破断時の荷重を測定し,荷重-時間曲線のトップピークから1秒後までの傾きの絶対値を「噛み切り易さ」と定義し評価した。また,各試料を加水後,フードプロセッサーで粉砕し香気成分をSPME-GC/MS法にて測定した。

【結果および考察】 10分以上浸漬した試料で豚肉特有の臭みがピーク面積値で60%以上低減し,たまねぎの好ましい香気が付与された。これらは浸漬直後からでも十分に効果が得られた。また,焼成後の食べ易さ(噛み切り易さ)は浸漬で有意に向上した。以上より,浸漬直後,より好ましくは10分以上の黒酢たまねぎドレッシングへの浸漬により豚肉の風味と食べ易さが向上することが示された。

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