日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1E-4
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口頭発表
ハナビラタケ由来多糖類のゲル形成と化学構造解析に関する研究
*古田 絢裟藤本 大道新田 陽子
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抄録

【目的】ハナビラタケ(Sparassis crispa)は,食用として市販されており,その子実体には,β-(1,3)(1,6)結合を持つグルカンが乾燥重量あたり40%w/w以上含まれるとの報告がある。βグルカンは,抗腫瘍効果,造血促進作用などから生理活性物質として知られている。一方,ハナビラタケβグルカン水溶液は独特な粘弾性を示し,単独で熱可逆性のゲルを形成することを確認している。そこで本研究では,ハナビラタケβグルカンを精製し,ゲル化の確認および化学構造など基礎的性質を調べるための試料作成を目的とした。

【方法】大和菌学研究所より提供を受けたハナビラタケピューレを脱脂後オートクレーブで熱水抽出し,メタノール添加で得た沈殿物を乾燥後蒸留水に分散させた。その分散液についてトリプシン処理後,エタノール添加で得た沈殿物を乾燥後蒸留水に分散させた。その分散液を0.22 μm孔径のフィルターでろ過し,分画分子量約3500の透析膜を用いて透析した。糖の定量は,フェノール硫酸法によってグルコースを標準にして行った。βグルカン定量はメガザイム社βグルカン含量測定キットを用いた。ゲル化の確認には,TAインスツルメンツ社ARES G2を用いた動的粘弾性測定等を行った。

【結果および考察】抽出物のβグルカンの含量はトリプシン処理後:64%,ろ過後,透析後:90%以上となった。透析後の試料のゲルは,トリプシン処理後のものよりも透明度が高く,ゲルの弾性率が増加した。透析後の試料の糖含量が高く,ゲル形成も確認できたことから,透析後の試料中の多糖類の化学構造について調べた結果を報告する。

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