日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: P-k20
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
石川県の家庭料理 副菜の特徴
*新澤 祥惠川村 昭子中村 喜代美
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抄録

【目的】石川県における副菜の特徴を検討した。

【方法】平成25〜27年に実施した「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の聞き書き調査(穴水町,金沢市,野々市町,白山市,小松市,白峰村)及び文献等により検討した。

【結果および考察】1)県内全域で出現するものになすそうめん,オランダ煮,大根なますがある。昔はそうめんの製造が盛んであり,なすそうめんは日常食としてよく食されてきた。本来は煮物であるが,汁物としても調理されている。なすの含め煮を当地ではオランダ煮と称するが,下調理としてはゆでる,炒める,揚げるなど様々であり,薬味としても生姜や唐辛子を用いるなど家庭により異なる。大根なますは正月料理には欠かせないが,日常食としても良く作られ,うすあげが多いが,ぶりを使うとご馳走になる。 2)加賀地区では春先に収穫できる吹立菜を煮物にしたり漬物にするが,漬物が古くなると煮て,てんばおくもじとした。また,小さい新じゃがいもを味濃く煮付けるかっちりが出現する。 3)能登地区では能登野菜のひとつであるそうめんかぼちゃ(金糸瓜)の酢の物や,うすくスライスしたなすをいしるで調味しただし汁でさっとゆでるなすのしゃぶしゃぶがあり,全域で大根,人参,干し椎茸,うすあげなどを使うあいまぜが出現した。 4)金沢では加賀野菜を使った金時草の酢の物,太きゅうりのあんかけ,つる豆の煮物があり,秋から冬にかけて,小坂の蓮根を使って多様に調理された。 5)漬物ではかぶらずし,大根ずしが県内全域で作られてきた。 6)汁物では,金沢で多種の野菜と肉で実だくさんのめった汁が作られ,いわしの他,めぎすの団子汁も作られる。能登では実入りえんどうのおつゆがあり,さやを出す仕草で料理名を示した。

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