日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: A-14
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口頭発表
登熟期間の気象条件が京都大納言小豆の形態および調理科学的特性に与える影響
*新田 奈穂松井 元子村元 由佳利古谷 規行
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抄録

【目的】小豆は日本の食文化に欠かせない食材である.北海道産小豆の調理科学的特性は明らかにされているが,栽培年が異なる大納言品種については検討されていない.そこで本研究では,京都統一ブランド品種の「京都大納言小豆」について,登熟期間の気象条件が小豆の形態および調理科学的特性に与える影響を把握することを目的とした.

【方法】試料は,2017~2020年産の「京都大納言小豆」(京都府亀岡市圃場)を用いた.日々の気温,日照時間,降水量は圃場内で測定し記録した.豆の水分含有率,百粒重,粒径,臍の長さ,種皮色調,デンプンの糊化特性・粒子径・粒度分布,調理科学的特性として餡の粒子径・粒度分布,吸水後と煮熟後の物性を測定した.

【結果】気温との関係をみると,小豆の水分含有率は,2020年産が有意に低いが,相関は見られなかった.百粒重は,2017年産が有意に重く,負の相関があった.種皮色調は,2019年産の赤味度が有意に低く,登熟期間後半に負の相関があった.デンプンの糊化開始・ピーク・終了温度は,2019年産が有意に高く,登熟期間後半に正の相関があった.デンプンの平均粒子径は,2019年産が有意に小さく,負の相関があった.餡の平均粒子径は,登熟期間前半と正の相関がみられたが,年度間で有意差は認められなかった.豆の吸水率は,16〜22時間後において2017年産が有意に低く,正の相関があった.60分煮熟後の破断荷重は,2017年産が大きく,負の相関があった.これらの結果より,登熟期間の気温が高いと,百粒重が軽くなり,種皮の赤味度が低下,デンプン糊化温度が上昇,デンプン粒子径が小さくなることが示唆された.今後,日照時間,降水量との関係や,煮熟時間や物性に与える影響について検討する予定である.

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