日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: B-1
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口頭発表
生醤油の酵素活性に対する各種調味料の影響
安藤 真美*北尾 悟野原 綾平原 嘉親永崎 直樹
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抄録

【目的】生醤油は火入れを行っていないため,鮮やかな色や穏やかな香りだけでなくタンパク質や澱粉分解系の酵素活性が残存する特徴がある。生醤油は単独で使用することもあるが,他の調味料と組み合わせて調理する場合が多く,調味料の種類によっては生醤油に残存している酵素活性が影響を受ける可能性がある。そこで今回は,他の調味料と併用した料理における生醤油の調理特性を明らかにするため,実際の調理を想定したモデル実験系において,各種調味料による生醤油の各種酵素活性への影響を検討した。

【方法】醤油は,キッコーマン製こいくち生醤油を使用した。併用した調味料は上白糖,みりん類(本みりん,みりん風調味料,煮切り本みりん),料理酒,穀物酢とした。使用比率は各種調味料が一般的に使用される比率を基準に上下3段階に設定した。加熱温度60℃および100℃において加熱時間を1~60分と変化させ,各条件におけるプロテアーゼ活性(Folin呈色法)およびα‐アミラーゼ活性(α‐アミラーゼ測定キット:キッコーマンバイオケミファ社製)を測定した。

【結果・考察】未加熱の場合,穀物酢併用時のみ酵素活性が低下した。60℃加熱した場合,上白糖,本みりん,みりん風調味料,煮切り本みりんの併用比率が高いほど,生醤油に含まれる各種酵素活性がより残存した。この結果から各種調味料に共通して含有する糖質化合物が各種酵素に対して保護することが考えられた。生醤油に含まれる酵素類の効用を十分活用する調理を行う際は,他の調味料をはじめ併用する食材に含有する糖質化合物量,および加熱温度や時間などを考慮することが望まれる。

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