日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1B-6
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水の硬度がだいこんの煮熟調理に及ぼす影響
―食塩、ショ糖が共存した場合―
*田中 里奈秋山 聡子池田 昌代鈴野 弘子
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抄録

【目的】演者らはこれまでに、水煮において水の硬度が調理後の食品の状態に及ぼす影響を明らかにした。しかし、通常の調理では調味料を加えて行うことが多い。そこで、本研究では「煮物」を想定し、硬度の異なる水に、食塩、ショ糖を添加してだいこんを煮熟した際の物性および組織への影響を検討した。

【方法】だいこん(千葉、青森県産)は直径1cm×高さ1cmに切裁した。煮熟水は純水、南アルプスの天然水(硬度:30mg/L)、エビアン(304mg/L)、コントレックス(1468mg/L)の調味料無添加と、それぞれ1%食塩、3%ショ糖、1%食塩+3%ショ糖を加えた合計16種とした。だいこんは煮熟水で10分間加熱した。加熱後の煮熟水はpHを測定し、だいこんは、クリープメーター(RE2-33005S)で破断強度、原子吸光光度法によりNa、K、Ca、Mg含有量を測定した。走査型電子顕微鏡(TM4000Plus)で組織を観察した。

【結果】煮熟水のpHは、純水を除き、加熱後で有意に上昇した。加熱後のだいこんの破断応力は、水ごとに比較すると、無添加、ショ糖に比べ、食塩、食塩+ショ糖で有意に小さくなった。また、調味料ごとに比較すると、純水より、南アルプスの天然水、エビアンが有意に小さくなった。K含有量は、水ごとの比較で、無添加、ショ糖、食塩+ショ糖に比べて、食塩で有意に多くなった。CaとMg含有量は、調味料ごとの比較で、水に含まれているCaとMg量に比例して多くなった。また、Mg含有量は、水ごとに比較すると、ショ糖で多くなった。だいこんの構造は、表面部ではいずれの調味料の添加も水の硬度が高くなると細胞の丸みがなくなり、細胞壁が波打っている様子が観察された。

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