日本調理科学会大会研究発表要旨集
2025年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-4
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レーザー調理による代替肉の食感制御及び新規食感創出
*宮崎 和真武政 誠
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抄録

【目的】タンパク質が不足するプロテインクライシスが危惧される中で、代替肉が近年注目されている。しかし、従来の代替肉は食感が本物の肉と比較して食感での満足度が低い課題があった。この課題を解決するために、肉の筋繊維構造を模倣した代替肉をレーザー3Dプリンターで精密に造形する技術を我々は開発した。

【方法】タンパク質にレーザー波長を吸収する食用色素(タートラジン)を添加することで、レーザーを照射した位置に限定した、局所的な加熱を引き起こし、タンパク質の熱変性を誘発させる。レーザー照射位置の間隔を調整することで, 繊維間の結合強度も制御することが可能である。この技術を用いて、15×15×10mmの代替肉を作製し、代替肉の繊維に対して、並行方向及び垂直方向に圧縮器具が当たるように、圧縮試験を実施して食感を評価した。

【結果】レーザー照射の間隔を調整することで、3Nから30Nまで代替肉の食感制御が可能となり、角煮のような「ほぐれやすさ」からステーキ肉の「歯応え」まで、幅広い食感を再現することに成功した。本研究では、加熱調理によって変化する肉の食感をも再現及び制御することにも挑戦した。生肉からレア、ミディアム、ウェルダンに至るまでの加熱段階で食感は変化する。これらの調理過程における食感をレーザー3Dプリンターで再現を試みた。さらに、ステーキ肉の内部をウェルダン、外部をレアにするなど、食感分布の創出も可能となった。本研究は、単なる肉の模倣にとどまらず、レーザー調理技術による食感設計や新規食感の創出を可能とする技術開発であり、次世代の食品開発に貢献することが期待される。

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