抄録
本論文では、北海道内のリージョナルチェーンスーパーを事例として、店舗網拡大とそれに伴う青果物調達チャネルの再編過程を分析し、以下の点を明らかにした。まず、北海道内において上位企業とりわけ上位3系列の集中度が近年急速に高まっていることを明らかにし、小売業の地域寡占化がリージョナルチェーンの成長という形で現れていることを確認した。続いて北海道内のチェーンスーパー・生協を取り上げ、道内産品については消費者の根強い地場産指向のため、各地区内の卸売市場からの仕入れが残存し、むしろ強まっていること、他方で道外産品については自社の配送センターを活用した、産地直結ないし道外中央卸売市場との商物分離取引による調達が増加している。こうして地域内の拠点市場(札幌市中央卸売市場)がリージョナルチェーンの成長、小売業の地域寡占化から取り残されつつあることを明らかにした。