The Journal of Antibiotics, Series B
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Penicillinaseに関する研究 第1報
Penicillin G耐性ブドウ球菌とPenicillinase
田中 栄一
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1965 年 18 巻 5 号 p. 345-353

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抄録
最近, 各種化学療法における耐性菌の問題が種々論議の的となつている。特に, ブドウ球菌 (以下, ブ菌) や腸内病原菌の多剤耐性株の出現頻度は, 抗生物質治療の普及度に比例して増加の傾向にあり, 治療上ならびに予防上大きな問題となつている。
自然界におけるPenicillin (以下, PC) 耐性菌のほとんどが著明なPenicillinase (以下, PC-ase) 産生能力をもつていることは周知の事実である。しかし, 人工耐性菌では必ずしもPC-aseの産生は明らかでない。試験管内において種々の菌がPC耐性を得ることについての実験は, 既に枚挙にいとまないほど多いが, その中でも比較的耐性の得やすいブ菌については, RAMMELKAMP1), MACKEE2), 野村3), 高島4) 等によつて報告されている。
この耐性を獲得する機序については, これまでに色々の解説が試みられたが, まだ充分に明らかになつていない。たとえば, KIRBY5) はPC-aseによるといい, DEMEREC6), LURIA7) 等は細菌の変異に基づくものと考え, さらに GALE8) は細菌の代謝機能の変化からこれを説明しようとした。
そこで著者は, ブ菌の耐性の機序の一端を知る目的で, PC感受性ブ菌を用いて, それを試験管内でPC-Gに対し人工的に耐性を獲得させ, 日時を追つてPC-ase産生状況を検討した。また, 自然耐性ブ菌に強い抗菌力を示す新合成PCに対して, これら人工耐性菌がどのような感受性を示すかを検討した。
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