The Journal of Antibiotics, Series B
Online ISSN : 2186-5469
Print ISSN : 0447-8991
ISSN-L : 0447-8991
新乳酸菌製剤PolylactonのCandida, StaphylococcusおよびShigellaに対する発育抑制効果(in vitro実験)
小松 信彦須山 忠和
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 20 巻 6 号 p. 395-400

詳細
抄録

新乳酸菌製剤Polylacton (ミドリ十字社製) は, 多種抗菌性物質に対して抵抗性を付与させた乳酸菌 (Lactobacillus acidophilus, Lactobacillus lactisおよびStreptococcus lactis) を腸溶性カプセルに封入した製剤であり, これを健康人に1回経口投与したばあい, 長期間 (4~10週) にわたつて服用者の糞便中に製剤由来の乳酸菌が検出されることが証明された1)。また製剤乳酸菌は腸内で著明に増殖することもみとめられている。したがつて, このように腸内に定着し増殖する乳酸菌が他の腸内細菌に対しどのような影響をおよぼすかを明らかにすることは, 乳酸菌製剤の効果を知るためにも興味あることであろう。
一般に, 乳酸菌がある種の微生物に対して発育抑制的に作用することはかなり古くから知られており, その作用因子としては, 生成した乳酸によるものであろうとの推測がなされている2)。しかし, 一方では, 乳酸とは明らかに異なる因子として, 抗菌活性をもつ物質を乳酸菌培養濾液から得たという報告もある3, 4, 5)
そこで, 今回われわれは, Polylacton中の乳酸菌を用いて, 混合培養によつてCandida albicansおよびStaphylococcus aureusに対する発育抑制効果をしらべ, さらに乳酸菌培養濾液を用いて, それがStaphylococcus auyeusおよびShigella sonneiの発育にどのような影響をおよぼすかを検討し, 若干の知見を得たので, ここに報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人日本感染症医薬品協会
次の記事
feedback
Top