The Journal of Antibiotics, Series B
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抗菌性物質の併用に関する研究IV
赤痢菌に対する Chloramphenicol,Guanofuracinの併用について
小林 裕
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1955 年 8 巻 3 号 p. 85-88

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抄録
私はこれまでの報告1) 2) 3) において, 細菌のStreptomycinに対する耐性獲得に, GuanofuracinあるいはChloramphenicolがいかに影響するかについて述べた。その際, StreptomycinとGuanofuracinの併用では見掛け上の耐性獲得抑制現象が認められたが, StreptomycinとChloramphenicolの併用では認められなかつた。この現象がどうして起るかについては, その可能な条件に関して前報3) で推論したのであるが, そのうちGuanofuracin自身にそのような現象を起させる性質があるのではないかということも一応は考えられるし, また協同作用, 拮抗作用とこの現象との間になんらかの関連性がありはしないかとも思える。
また, Streptomycinは細菌性赤痢の治療剤としてはあまり適当でなく, 最近はもつぱらChloramphenicol, Chlortetracycline, Oxytetracycline等が用いられている現状である。しかもこれらは最近乱用の傾きさえあり, やがてこれらの薬剤に対する耐性菌の出現のうれいがないことはない。そこで, Chloramphenicol等の補助薬として併用しうる薬剤を見出すことが必要である。Guanofuracinは細菌性赤痢の治療に一応有効な薬剤であるので, このような目的に使用しうるかどうかの基礎的検討をおこなうことを目的として, 以下の実験を試みた。
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