The Journal of Antibiotics, Series B
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抗生物質飼料の力価試験について
二宮 幾代治
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1955 年 8 巻 7 号 p. 271-276

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抄録

抗生物質製剤の力価試験には, 各種の進歩した方法が確立されているが飼料に添加混合して動物に給与し, その成長を促進し, 或いは疾病の予防治療の目的に使用するいわゆる抗生物質飼料の力価試験については, その多くが明らかにされていなかつた。これはその組成が複雑で, 含有される抗生物質の純度が区々であり, 抗生物質製造の副産物等が主要原料である場合等があつて, 含有抗生物質の検査は医薬用抗生物質製剤を検査材料として取扱う場合とはそのを趣異にしており, またその含有力価を確実にする必要性も少なかつたためであると思われる。
この種の抗生物質製剤の検定に関して, J. E. GRADY & W. L. WILLIAMS (1) は, Pad-Plate法により抽出剤として塩酸アセトン液を使用して飼料に含有されるクロールテトラサイクリンの定量を報告し, 米国Pfizer社微生物学研究所 (3) は抗生物質製造副産物中のオキシテトラサイクリン, ストレプトマイシン及びペニシリンについて比濁法または標準曲線法による力価試験法を紹介し, D. SIMINOFF, R. W. PRICE & W. G. BYWATER (3) はBacitracinmethylene disalicylateの性格について発表しているが, これらはいずれもそのまま実地に応用し難いものであつた。
我々は手技が簡単で, 誤差が少く, できるだけ正確な値を得る試験方法を求め, これら製剤の国家検査基準を作成することを目的として試験を進めて来たが, 概ね所期の目的を遠し得る結果を得, その一部は既に農林省告示として動物用抗生物質製剤検査基準が設定され, 飼料の国家検査に応用されるに至つたので, その概要を報告する。

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