The Japanese Journal of Antibiotics
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Lividomycinの尿路感染症にたいする効果の検討
1.家兎実験的緑膿菌性腎盂腎炎における検討
坂本 日朗大井 好忠角田 和之永田 進一
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1972 年 25 巻 6 号 p. 380-384

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抄録

Lividomycin (LVM) は, 興和株式会社で開発されたアミノ配糖体系抗生物質であり, Streptomyces lividusから分離され, その構成成分は2-Amino-2, 3-dideoxy-D-glucoseであり, 構造式は他のアミノ配糖体と類似している。アミノ配糖体の不活性化の様式はアセチル化, 燐酸化であり, 特にアミノ糖の3位のOHの燐酸化が多いが, LVMはこの部位にOHをもたないことが特徴と考えられている。
緑膿菌のLVMにたいする感受性分布は, Gentamicin (GM) とKanamycin (KM) のほぼ中間に位置しているといわれている。したがつて, 緑膿菌感染症にたいする効果が期待できる。
近時, 尿路感染症からの分離菌はグラム陰性桿菌が増加し, とくに緑膿菌の増加は本菌が多種薬剤に高度耐性を示すだけに, 本症治療薬剤の新たな開発は, 臨床家が渇望するところである。
われわれは, 家兎の1側尿管に不完全狭窄を作製し, 上行性に菌液を注入して実験的に腎盂腎炎を惹起し1, 2), 実験的腎盂腎炎家兎を用いて抗生物質のin vivo効果が検討可能であり, 抗生剤の効果の比較検討をおこなうこともできることを報告してきた。
今回, LVMの提供をうけたので, 家兎実験的腎盂腎炎を用いて, LVMの緑膿菌にたいするin vivo効果を判定するとともに, GM, KMとの効果比較について小実験をおこなつたので報告する。

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