The Japanese Journal of Antibiotics
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緑膿菌性尿路感染症に対するLividomycinの治験
田中 英中沢 進佐藤 肇
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1972 年 25 巻 6 号 p. 446-451

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抄録

Lividomycinは, 名古屋市の土壌中から分離されたStreptomyees lividusn.sp.ATCC21178によつて生産され, 興和株式会社東京研究所において新らたに開発されたアミノ配糖体に属する新しい抗生物質である。
その基礎的実験から, in vitroおよびin vivoにおいてグラム陽性菌, 陰性菌, 結核菌, ことに緑膿菌は有意の感受性を示すといわれる。
Lividomycin (以下LVMと略) の基礎的実験結果1)によると, 総括的薬理作用に関してはKMと非常に類似しているといわれ, その有効性を緑膿菌についてみると, 215株のMICは12.5~50mcg/mlに82.1%が集中し, これはKanamycin (KM) に較べかなり有効性を示したという。
一方, 耐性上昇性についてもKM, Colistin (CL) より遅延傾向を示し, Gentamicin (GM), Polymyxin B (PLB) と同様の耐性パターンを示すという。
交叉耐性は, KM, GMとの間にみとめられるが, CLとの間に交叉耐性を示さず, Dihydrostreptomycin (DHSM) との相関は明かでなかつたといわれる。
動物における急性および慢性毒性試験で, LVMのLD50は, KMの1.5~2倍であり, 長期投与による毒性, 各臓器への影響は, LVMはKMにくらべて腎臓への毒性が強い傾向がみられるが, 他臓器に対する機能検査ではKMとほぼ同等といえる。
LVM投与 (筋注) による臓器内分布をみると, 血中が最も高く, 腎, 肺の順となるが, 血中濃度は30分を最高とし, 急激に減少し, 3~5時間で消失するが, 腎では長期間持続し, 12時間後にもなお残存するといわれる。
そこで, 著者らはLVMの特性を利用して, 緑膿菌に起因する尿路感染症に本剤を使用し, 治療効果, 副作用などについて検討を加えてみた。

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