The Japanese Journal of Antibiotics
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複雑性尿路感染症に対するCombipenixの使用経験
山田 智二丸 彰夫高村 孝男本村 勝昭波治 武美三橋 公美松野 正大越 隆一斯波 光生大橋 伸生川倉 宏一中西 正一郎西田 亨阿部 弥理
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1978 年 31 巻 8 号 p. 480-486

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抄録

化学療法剤の主流を占めるβ-ラクタム (ペニシリン・セファロスポリン) 系抗生剤耐性化の主な機構は, これら剤のもつているβ-ラクタム環を水解して不活化すう酵素β-ラクタマーゼにあることは古くから知られており, 特に最近の化学療法の進歩に伴なう耐性菌の出現鎖度の増加も, アンピシリンに代表されるβ-ラクタム系抗生剤に特徴的である1)。したがつて, これら不活化酵素の作用を受けない薬剤の開発, あるいはアンピシリンと同時に使用してβ-ラクタマーゼを不活化することによって耐性菌にもアンピシリンを有効に作用させる併用薬剤を探すことが, 耐性菌に対する対策の1っと考えられている。
今回, 東洋醸造K.K.から提供されたCombiperiixは, アシピシリン (AB-Pqと1β-ラクタマーゼ阻害剤であるジクロキサシリン (MDI-PC) との複合抗生物質で, 単に抗菌スペクトラムの拡大ばかりでなぐ, アンピシリン耐性菌の産生するペニシリナーゼによるアンピシリンの分解をジクロキサシリンで抑制しアンピシリンの抗菌作用を保持させることが耀されている2, 3) 。今回, 術後を含む複雑性尿路感染症を対郷Combipenixの臨床効果の検討をおこなったので, その結果について報告ずる。

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