The Japanese Journal of Antibiotics
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Pseudomonas cepacia感染症の臨床細菌学的検討第1報
臨床材料由来P. cepaciaの年次別分離頻度と薬剤感受性
猪狩 淳小酒井 望小栗 豊子
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1979 年 32 巻 10 号 p. 998-1002

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抄録
Pusdeomonas cepaciaは, プドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に属する1菌種であり, 自然界に生息し, 以前はヒトの感染症の原因菌となることはほとんどないと考えられでいた弱毒菌であった。しかし, 最近は, 本菌による院内感染が増加してきており, Opportunistic infbctionの原因菌の1つとして, にわかに注目されてきた1)。
P. cepaciaは, 特定の抗細菌剤以外は, ほとんどの化学療法剤に耐性を示すことが多く, 本菌による感染症の治療を困難にしている。すなわち, 試験管内抗菌力実験によれば, Ampicillin (ABPC), Cafbeniciflln (CBPC) などの合成ペニシリン剤やCefazolin (CEZ) などのセファロスポリン剤にはほとんど耐性を示し, わずかに, Minocycline (MINO) がよい抗菌力を示すという結果が得られている1, 2)。また, 本菌の臨床材料からの分離状況に関しては, 数年前までは, 順天堂大学病院中検で, 臨床材料から分離されることがほとんどなかつた本菌が, 最近になり, その分離株数, 頻度が急激に増加してきている。そこで, P. cepaciaの臨床材料からの分離頻度の年次別変化および化学療法剤に対する感受性をしらべることは, 本菌による感染症の治療および予防に意義があることと考え, 以下の事項を検討したので報告する。
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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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