The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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術後感染症に対するSulbactam/CefbPerazoneとCeftizoximeの薬効比較試験
小池 明彦正岡 昭AKIRA MISHIMAAKIRA MIZUNO鈴木 宏志由良 二郎KAZUAKI MATSUMOTO入山 圭二加藤 健一松本 好市竹重 言人片岡 誠安藤 正英藤岡 正樹堀沢 増雅河野 恵品川 長夫小川 暢也石川 周伊藤 忠夫近藤 達平
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1985 年 38 巻 3 号 p. 643-670

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抄録

術後感染症に対するSulbactam/CefoPerazone (SBT/CPZ) の臨床的有用性を客観的に評価するため,Ceftizoxime (CZX) を対照薬としてWell controlled comparative studyを行い以下の結果を得た。
1. 総合臨床効果における有効以上の有効率は委員会判定でSBT/CPZ群84.0% (63/75), CZX群80.6% (50/62) であり, 主治医判定ではSBT/CPZ群84.0% (63/75), CZX群71.0% (44/62) であり, いずれも有意の差は認められなかつた。しかし, 感染症の種類別の総合効果をみると主治医判定で腹腔内感染の著効及び有効以上の有効率においてそれぞれSBT/CPZ群36.1% (13/36), 86.1% (31/36) に対し, CZX群20.0% (6/30), 63.3% (19/30) であり, SBT/CPZ群がCZX群に比べ有意の差 (U検定, P<0.05) を認めた。
2. 主治医による最終全般改善度の改善率はSBT/CPZ群85.3% (64/75), CZX群79.0% (4g/62) であり, 両薬剤間に有意の差は認められなかつた。しかし, 経日的全般改善度については4日後の改善度でSBT/CPZ群がCZX群に比べ有意(U検定, P<0.05) に優れていた。
3. 有用性判定での有用以上の有用率はSBT/CPZ群84.0% (63/75), CZX群73.0% (46/63) であり, 両薬剤間に有意の差は認められなかつた。
4. 細菌学的効果として病巣分離菌の消失率はSBT/CPZ群85.7% (36/42), CZX群73.5% (25/34) であり, 両薬剤間に有意の差は認められなかつた。
5. 副作用はSBT/CPZ群2例 (2.5%) に認められた。又, 本剤に関連すると思われる臨床検査値異常例はSBT/CPZ群6例 (7.5%), CZX群5例 (6.4%) であり, その種類, 発生頻度共に両薬剤群間に差は認められなかつた。
以上の結果からSBT/CPZは術後感染症に対する治療薬として有用性の高い薬剤であると結論される。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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