The Japanese Journal of Antibiotics
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[最新の抗菌薬XLVI] Panipenem/Betamipron
島田 馨
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1994 年 47 巻 3 号 p. 219-244

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抄録

Panipenem/Betamipron (PAPM/BP, CS-976) は三共株式会社で開発された新規のカルバペネム系抗生物質Panipenem (PAPM) と有機アニオン輸送系阻害剤Betamipron (BP) を1: 1 (重量比) に配合した注射用抗生物質である (Fig. 1)。
PAPMは各種細菌の産生するβ-ラクタマーゼに安定であると共にその阻害活性も強く, MRSA, Enteromcus faecalisを含むグラム陽性菌, Pseudomonas aerugisaを含むグラム陰性菌, Bactoides fragilis, Closidim diffcileを含む嫌気性菌等に強力な抗菌活性を示す。また, 各種病原菌によるマウス感染治療実験においても優れた効果が認められており, 中枢神経系への作用も極あて弱い。PAPMのウサギ腎毒性試験ではCephaloridine (CER) の腎毒性より低いことが認められたが, 安全性を更に高める為に, 腎毒性発現部位へのβ-ラクタム剤取り込み抑制作用を有する有機イオン輸送抑制剤のBPとの配合剤が開発された。
BPは腎デヒドロペプチダーゼ1阻害作用や一般薬理作用を有さない安全性の高いアミノ酸誘導体である1~3)。
本剤の基礎的・臨床的検討は, 前臨床試験後, 第一相試験が1987年および1990年 (追加試験) に, 一般臨床試験が1988年から1991年にわたって実施され, その間に比較試験を実施し, 本剤の有用性が確認された。その成績は第38回日本化学療法学会総会 (1990年12月7日, 岐阜) において新薬シンポジウムとして発表され, この報告は日本化学療法学会雑誌 (Chemotherapy) に39巻SupPl. 3として発表されている。
以下, PAPM/BPの概要について記述する。

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