The Japanese Journal of Antibiotics
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尿路感染症分離菌に対する経口並びに注射用抗菌薬の抗菌力比較 (第16報1994年)
その3. 感受性の推移
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1996 年 49 巻 6 号 p. 555-657

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抄録

1994年6月から翌年5月までの間に全国10施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Enterecoccus faecalis, Staphylococcus aureus, Citrobacter spp., Enterobacter spp., Escherichia coli, Klebsiella spp., Proteus mirabilis, Pseudomonas aeruginosa, Serratia spp.) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1989年度~1993年度までと1994年度の感受性を比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症, カテーテル非留置複雑性尿路感染症, カテーテル留置複雑性尿路感染症の3群に分類して行った。E.faecalisでは, 1993年度と比べるとAmikacin及びキノロン系薬剤に対する感受性が若干良くなった。S. aureusでは, 単純性尿路感染症から分離された4株がほとんどの薬剤に対して良好な感受性を示した。Citrobacter spp. 及びEnterobacter spp. では, 感受性に大きな変化は認められず Imipenem及びGentamicin の抗菌力が強かった。E. Coliではペニシリン系薬剤に対する感受性株がやや減少したが全体的に大きな変化は認められなかった。Klebsiella spp. ではペニシリン系薬剤に対する感受性株がやや減少し, アミノグリコシド系薬剤に対して耐性株が検出された。P. mirabilis では感受性分布に大きな変動は認められず Minocycline を除き良好な感受性を示したが, キノロン系薬剤に対して耐性株がみられた。P. aeruginosaでは Tobramycinに対して感受性に二峰化傾向がみられた。Serratia spp. については前年度までと比較すると全般的に感受性は良好であった。

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