Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
クロルプロマジン注射後のマウス諸器官の組織化学的研究
池田 稲穂
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1960 年 20 巻 4 号 p. 609-627

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抄録
クロルプロマジンはその多彩な薬理作用により臨床的に広く用いられて居る. 著者はマウスを用いてクロルプロマジン注射後に起きた組織化学的変化を顎下腺, 小腸, 肝, 腎において時間をおって観察した.
アルカリホスファターゼ: 小腸上皮, 腎の近位尿細管の刷子縁に於ける酵素活性は減少を示した. 肝の星細胞の活性は増強した. また顎下腺基底膜の酵素活性も増強した.
多糖類: 肝細胞内のPAS陽性物質の著明な減少が見られた. また顎下腺の明るい細胞と小腸上皮に於いては染色性の増強が見られた. 腎糸球体基底膜, 刷子縁, Henle の係蹄のPAS染色性は減弱した.
蛋白質: 顎下腺の明るい細胞は注射後3時間で染色性が増加し, その後減少する. 肝, 小腸, 腎に於いての染色性は減少した.
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© 国際組織細胞学会
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