抄録
1. アコニターゼの組織化学的検出法を, イソクエン酸脱水素酵素とトリホスホピリジンヌクレオチドを使用する Ochoa の間接証明法とニトロブリューテトラゾリウムの還元法を結合するにとにより, 考案した.
2. 温置混合液の組成は次の通りである. 0.2M sodium cis-aconitate 4ml 0.05M veronal buffer. (pH 7.4) 10ml 0.005M manganese chloride 2ml TPN 5mg nito-BT 10mg distilled water 4ml.
3. 本法によりラットの肝臓, 腎臓, 小腸, 大脳, また人と犬の前立腺を検索したところ, 強い反応が特に肝小葉周縁部の肝細胞, 腎尿細管主部 (曲部) の上皮, 前立腺の腺上皮等に見られた.
4. 本反応の特異性を, 基質, 補酵素, 促進剤, 阻害剤を温置混合液に加え, または除いて, 検討し, 本法はアコニターゼ及びそれと共存するイソクエン酸脱水素酵素とトリホスホピリジンヌクレオチド-ジアホラーゼをよく証明する事を確実にした. しかしジホスホピリジンヌクレオチド連鎖のイソクエン酸脱水素酵素は干与していない.