抄録
鶏の卵管の子宮と腟の移行部を組織学的と組織化学的に調べた. 子宮の遠位部 (子宮窩と呼ばれる) を注意して見ると, 腟になる直前で約0.5-1cm幅にわたり粘膜の色が変わっているのが分かり, 灰褐色の木葉状ヒダの子宮粘膜は, ここでは高さの低い, やや規則正しい縦走ヒダに移行する. 組織学的には粘膜被蓋上皮は子宮部と同様に繊毛細胞と杯細胞の2種の細胞より成るが, 杯細胞は少なく, 大型である. 粘膜固有層は血管に乏しく, 結合組織は著しく疎である. ここに子宮腺とは異なる小型の管状腺が散在して認められる. 組織化学的には, 被蓋上皮の繊毛細胞は特異的に多量のコレステリン様脂質を含む. この脂質は卵の放出時に著しく減少する.
腟の起始部の約1cmの間 (腟腺部といわれる) は腟の他の部分より少しく径が太く, 粘膜は高さの低い, 幅の厚い縦走ヒダで被れている. 被蓋上皮はやはり繊毛細胞と杯細胞より成るが, 杯細胞は更に少なくなり, 繊毛細胞は増す. ここの繊毛細胞はもはやコレステリン脂質を含むことがない. 粘膜固有層はやや密な結合組織と変わり, 大型の管状腺 (腟腺) が多数認められる. 腟腺はこの部の特徴的存在である. この腟腺は大型であるばかりでなく, 腺細胞は多量のコレステリン様脂質を含むのが注目される. ここの脂質もまた前と同じように消長する.