Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ゴルジ法より見たラット青斑核の細胞構成
清水 信夫大西 里子佐藤 啓二遠山 正弥
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1978 年 41 巻 2 号 p. 103-112

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抄録
ラット青斑核の形態学的構成を明らかにするため, ゴルジ迅速法により研究した. この核は中型細胞 (20×35μ) と小型細胞 (10×15μ) より構成され, 中型細胞は 主として紡錘形で この核の背尾側を占めるが, 錐体状または多極性細胞は しばしばこの核の腹側部に現れる. 両種細胞とも胞体の表面に多数の棘をそなえ, これが青斑核細胞の鑑別の最大の指標となる. これらの細胞体からは 数本の比較的短い樹状突起が各方向へ出, 一二回分枝するが, 内腹側へ向かうものが多く, 細胞密集領域を越えて橋中心灰白層に進入している. 青斑核の内側に隣接するこの領域が, おそらく各方面より青斑核へのインプットの主たる受容部をなすと思われる. 青斑核の軸索は 最初 吻外側, または尾外側に向かい, また あるものは二叉に分かれ, 吻側と尾側へ向かう. 軸索よりの微細な側副枝が青斑核領域でしばしば証明され, ときに青斑核細胞の樹状突起と接触しているので, 反回側副枝と見なされる. このほか, その起源の不明な2種類の求心線維が青斑核細胞間に見られる. また少くとも3種類の小型円形細胞が青斑核内とその近傍に認められるが, その軸索の終止は証明できなかつた.
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© 国際組織細胞学会
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