Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
成熟マウスの精巣間細胞の電子顕微鏡的研究
大畑 まさ子
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1979 年 42 巻 1 号 p. 51-79

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抄録

マウス (ddY系) の精巣間質組織には, 間細胞のほかに線維芽細胞, 少数の形質細胞, かなり多くの大食細胞がある. 間細胞の糸状突起は, ことに細胞間隙の広がった部分に多い. 細胞表面には, しばしば陥凹があり, 多くの糸状微絨毛が陥凹内へ突出し, “基底陥入様構造”と呼ぶ独特な構造を作る. 多量の滑面小胞体は小管状と小胞状に分けられる. 小管状滑面小胞体は, 密集し吻合する小管からなり, 一定部分では, 一部有窓の扁平嚢を作る. 小胞状滑面小胞体は種々の大きさの小胞からなる. 小管状小胞体は, 間細胞機能に応じて小胞状小胞体へ移行する. 小胞の間には, 小径の管状小胞体の小斑が見出される. しばしば見出されるいわゆる滑面小胞体の渦巻は, ミトコンドリア, 脂肪滴, マイクロボデーを囲む求心性層板状の, 一部有窓の扁平嚢の集積である. 非典型的な有孔層板が, まれに細胞質内と小胞体の渦巻の中にみられ, 小胞体の膜につながる. 粗面小胞体は小斑をつくり, ときに小胞の拡大が見られる. ポリゾームは粗面小胞体域のみならず滑面体小胞体の間にも分布する. ミトコンドリアは管状稜を有し, ときに小数のリボゾーム様顆粒をもつ. 細胞質内に散在するゴルジ複合体のうち, 核に接するものは双中心子を有し, ときに単一線毛を出す. 比較的多くのマイクロボデーが細胞質内に散在する. 脂肪滴含有量は細胞によって非常に変化があり, おそらくステロイド生合成の度合を示す. またテストステロンを含有する滑面小胞に由来するらしい大きな空胞が形質膜に近接して見出され, これは分泌空胞で開口分泌により内容を放出するものと推定される.

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© 国際組織細胞学会
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