Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
カイニン酸のラット海馬CA3野に対する影響について
電子顕微鏡的研究
小幡 裕子久保 清一木下 晴生村部 義則井端 泰彦
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1981 年 44 巻 2 号 p. 135-149

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抄録

少量のカイニン酸をラットの側脳室に投与し, 海馬CA3野に対する影響について、投与1時間後より3週後まで, 経時的に電顕により観察を行なった. 投与後, 3時間くらいより, 激しい変性が錐体細胞の細胞体や樹状突起に認められた. 錐体細胞の変性は, 大きく4種類に分けられ, おそらくカイニン酸に対する感受性を反映していると考えられる. また, 今回の実験で, 錐体細胞の変性に加えて, 軸索の終末や終末前軸索に変性が認められた. 歯状回からの突起である苔状線維の終末には, 初期において形態上変化をみとめ, また, 苔状線維終末どうしのシナプスと考えられる構造も認められた. CA3野の変性に応じて, グリアの反応も激しく, 初期においては星状膠細胞や大食細胞が増加し, 変性後の組織には小膠細胞や星状膠細胞が動員されていた.

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© 国際組織細胞学会
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