青森大学付属総合研究所紀要
Online ISSN : 2188-8531
Print ISSN : 2436-1585
日本企業のSDGs経営における事業展開と マテリアルティに関連するKPI
青木 崇
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2024 年 26 巻 1 号 p. 1-

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抄録
企業におけるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の取り組みは既存事業の拡大や新規事業の開拓,利害関係者との信頼構築など,さまざまなメリットが期待され,その重要性は広く認識されている.しかしながら,実際のSDGs経営の実践には社内推進や目標設定などの課題があり,導入手順や具体的な進め方などの実践情報を求める声が少なくない.中小企業向けのSDGs活用のガイドブックやハンドブックは発行され,地方自治体や金融機関が中小企業のSDGs推進を支援し,取り組みを評価し,融資する動きがある.中小企業ではSDGsの目標達成の宣言をしてもその後が続かないことがある. 企業のSDGsへの取り組みは本業を通じて社会のさまざまな課題を解決しつつ持続的に成長し,発展していくための道標として捉えることができる.企業が身構えることなく,自社の原点に立ち返り,自社の経営理念と事業の強みを活かして企業価値の向上に向けて取り組むことがSDGs経営である. SDGsへの取り組みは経営理念または経営目的に関係し,企業のパーパス(経営の目的または存在意義)に直結する.SDGs経営の特徴は次の5点があげられる.①自社の強みにSDGsを関連づけて目標達成に合わせて資源配分を行っている.②2050年までのサステナビリティビジョンのようなロードマップを策定している.③その目標達成から逆算して具体的な施策を打ち出している.④中長期経営計画としてマテリアルティ(重要課題)を掲げ,その課題解決に向けたKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定して,戦略的事業として取り組んでいる.⑤SDGs経営の進捗状況はホームページ,統合報告書などで情報開示し,利害関係者に説明または対話を行っている.
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© 2024 青森大学付属総合研究所
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