2009年1月に島根県東部地方の標高200〜400mの低標高帯で発生したスギ人工林における雪害被害林の状況や,被害木の個体サイズについて調査した。適正な密度の林分や,密度の低い林分でも被害が確認され,同じ立木密度や収量比数であっても地形や施業履歴によって雪害への耐性に違いがあることが示された。また,胸高直径32cm以上,形状比65以下の個体ではほとんど被害を受けていなかったことから,雪害を回避するためにはこのような樹形に早期に誘導する必要があると言える。幹折れは折損部分が樹冠内部あるいは梢端に近い位置にあるため,樹勢が回復する可能性がある。これに対して幹割れは樹幹中央付近で平均して約3.5mに渡って上下方向に割れているため枯死する可能性が高く,土木用資材としての利用も困難である。これらのことから,幹割れは被害の程度はより深刻であると考えられる。