森林応用研究
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滋賀県南部における竹産業の展開過程
工藤 達朗岩井 吉彌
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1997 年 6 巻 p. 1-4

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抄録
滋賀県南部の竹産業は昭和20年代まで,地元の竹資源の豊富さと,その質の高さを基盤として,加工用や産業用の資材となる原竹,造園用や建築用の竹製品の材料となる晒竹を供給する産地として展開してきた。しかし昭和30年頃から,代替品の登場とマダケの開花更新により,原竹や晒竹の生産量とそれらを扱う業者数はともに激減し,残存した業者も対応を迫られた。昭和40年代以降,京都との関係が深かった晒竹生産業者の中から,造園用や建築用の製品を生産する業者が現れた。これは京都の竹材問屋からの製品加工についてのノウハウの提供によるものであった。その後京都だけでなく,他地域の問屋を通じて全国に製品を販売するようになった。なお,開花更新に伴い地元の竹資源の質が低下したため,製品の材料は青竹を除いて主に県外の竹資源に依存するようになった。一方,伐竹業者の中には,質がさほど問われない壁下地用の割竹の生産をすることで存続するものがあった。こうして,造園用や建築用の材や製品を供給する産地として現在も生産を続けているが,その基盤はもはや地元の竹資源の質の高さではなく,京都から獲得した高度な製品加工のノウハウに移ったのである。
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© 1997 応用森林学会
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